加工技術情報 (VA/VE)
ねじ転造
ネジ転造とは?
転造は、金属加工の一種で、塑性変形を利用して金属の表面にねじ山や歯車の歯などの形状を成形する技術です。切削加工とは異なり、素材の一部を削り取るのではなく、押し広げることで形状を作り出すため、材料の無駄が少なく、強度を高めることができます。
🔵転造の加工方法
転造は、通常、金属製のロールやダイス(工具)を使用して行われます。工具と被加工材の相対的な運動により、金属の表面が押し潰されて変形し、所望の形状が形成されます。主に冷間で行われますが、高精度な形状が求められる場合や大きな変形が必要な場合は、温間や熱間で行われることもあります。
🔵転造の特徴
●材料利用効率が高い: 切削と違って材料を削り取らないため、素材の無駄が少ないです。
●高強度: 転造によって形成された形状は、金属の結晶構造が変形されて、強度が増します。特に、ねじ山などの形状は、疲労強度や耐摩耗性が向上します。
●高い生産性: 連続生産が可能であり、大量生産に向いています。また、加工速度が速いため、コスト削減に寄与します。
🔵転造の種類
●ねじ転造: ねじの外径やピッチを転造工具で加工する方法。工具としてロール状のダイスが用いられることが多いです。
おねじの加工用に開発された加工方法です。
<ねじ転造盤 加工の様子>
加工事例(3ダイス) 加工事例(2ダイス)
●歯車転造: 歯車の歯形を転造で形成する方法。専用の歯形ダイスを使用します。
●スプライン転造: スプラインシャフトや内部スプラインを転造することで、ねじや歯車と同様に強度と耐摩耗性を向上させます。
●フラットダイス転造: 平板状のダイスを用いて、比較的大型の形状を転造する手法です。主に大型の部品や特定の形状の外部成形に用いられます。
🔵転造の応用例
●ねじの製造: 高強度が求められるねじは、転造によって成形されることが一般的です。
●歯車の製造: 特に高精度の歯車は、転造によって歯形を成形し、その後に仕上げ加工が行われることが多いです。
●スプラインシャフト: 自動車や産業機械の駆動系で使用されるスプラインシャフトの加工に転造が利用されます。
転造は、製品の強度や耐久性を向上させるだけでなく、生産効率を高めるため、幅広い工業製品の製造において重要な役割を果たしています。