加工技術情報 (VA/VE)
ねじ転造
2ダイス転造と3ダイス転造の違いは?

ねじ加工における転造方式には主に2ダイス転造と3ダイス転造があり、それぞれに特性と適用範囲があります。
2ダイス転造は、平行に配置した2枚のダイスの間をワークが転がることでねじ山を成形する方法です。加工速度が非常に速く、大量生産に向いているのが最大の強みです。設備構造も比較的シンプルでコストを抑えやすく、ボルトや標準ねじの量産に広く採用されています。ただし、片側からの圧力に偏りが生じやすいため、外径の真円度や精度は3ダイス方式より劣る傾向があります。
一方、3ダイス転造は3本の円筒ダイスでワークを360度均等に囲み、全方向から均等に圧力を加えて成形する方法です。この方式ではワークの中心が安定し、偏心が少なく、真円度やピッチ精度が非常に高い仕上がりとなります。そのため、精密ねじやスプライン、特殊用途の部品加工に適しています。ただし、機構が複雑な分、設備コストや工具コストが高くなり、加工速度も2ダイス方式よりはやや遅いという面があります。総じて、コスト効率と生産性を重視するなら2ダイス、精度や仕上がり品質を重視するなら3ダイスが選ばれる傾向にあります。
🔧 特徴まとめ
2ダイス転造
🔵大量生産向き(高速加工)
🔵設備・加工コストが低い
🔵外径真円度はやや劣る
🔵ボルトや標準ねじに最適
3ダイス転造
🔵真円度・ピッチ精度が高い
🔵偏心が少なく高精度
🔵精密ねじ・スプラインに向く
🔵設備コストが高く、速度はやや遅い
ねじ転造
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